2014年度相馬支援第2回第2日目相馬支援第2回第1日目
流れる時間のなかで止まっている車両
今日は南相馬で一日を過ごします。横山さんと私は、常磐線で相馬駅から南相馬の原ノ町へと向かいました。
原ノ町駅で見たいものがありました。3.11当時原ノ町駅に停車していてそのままどこにも行くことができなくなってしまったスーパーひたちです。昨日石井さんから、「原ノ町駅にこんなものがあるんですよ」と教えてもらいました。
息子が一時期鉄道が大好きだったので(ぬいぐるまのくまを「てつどうちゃん」と名づけたくらい)、スーパーひたちのことは知っています。鉄道関係の絵本やカードには必ず登場する花型でした。
しかし、3.11から4年が近づきつつある今、原ノ町駅にたたずむスーパーひたちは汚れていて見る影もないものでした。上の画像からはあまりわからないかもしれませんが、3.11からの時間の経過を否応なく感じます。
「問題化能力」??
ご本人が困っているはずなのに
例えば警察に通報されるなど、近隣も巻き込むトラブルがあるのに
ご家族も困っているはずなのにこのままでは今後、必ずある意味の「破局」が訪れてしまいかねないのに
ご本人も、同居のご家族も、状況を変えようとしない
不満を訴えても、何かを変えようとはしない
昨日同行させていただく予定だったお宅でも、今日伏見さんと同行させていただいたお宅でも、このような傾向があるようでした。
その深刻さというのは、ACTで訪問している私たちのチームにあてはめても、「かなり深刻」なレベルです。
しかし、深刻すぎるから、でしょうか。葛藤があっても、それを「問題」としてまで煮詰められない、ニーズというかたちに顕在化できないのです。本当に深刻になると、そうなってしまうのかもしれない。よく「家族の問題解決能力」という言葉が用いられますが、このような場合は問題解決の前の段階、問題化ができないというのが的確でしょうか。
たまたまかもしれませんが、そう感じた3件は、いずれも同居の家族でキーパーソンとなる方が男性でした。男性といっても、3人とも全く異る状況の方なのですけれど。
夕方伺ったお宅の男性キーパーソンは、「結局本人が行動しないといけませんから(私はさほど動くつもりはない??)」という趣旨のことをおっしゃっていました。
・・・確かにその通り。しかし、行動できていたら訪問までしていません。そんなきれいな言葉でまとめないでほしいと思うのですが、でも、そのような言葉でまとめざるをえないさまざまな事情もあったりして。
3次、4次方程式・・・深刻さの影にやはり震災
そして「さまざまな事情」には必ず震災の影があります。今まであった生活と家族と地域と仕事と友だちや知り合いと・・・いやいや、もっともっとたくさんのものを喪い、たくさんのものが破壊された経験です。それは家族一人一人の心にさまざまな影を落としていることでしょう。さらに、仮設住宅での暮らし、避難の経験なども加わるわけです。
お話を伺っていて、「これって3次、4次方程式だよな〜」と感じました。
私たちが浜松で訪問している方だって、かなり、もう、いやいや、本当に!!大変な人たちだったりします。例えば、虐待(数種類の)、貧困、統合失調症といったキーワードの方もいらっしゃいます。
しかし、そのような方でも、「2次方程式だな〜、南相馬のケースは3次方程式だよな〜」という印象です。変数が多すぎる。どこから解決していけば良いのか、途方に繰れる。その「途方の暮れ方」が浜松とはワンランクかツーランク深いというか重い。
そのような中で、日々支援を続けるのって、想像できない大変さがあることでしょう。
途方にくれつつも、前に進む。
うまくいかないのが当たり前のなかで、それでも希望を捨てずにいる。
そのために、他の地域の私たちができることな何なのか。
考え続けて、できればその「考え」を行動にしていかなくてはいけないことでしょう。
雰囲気のある図書館、センターでの横山さんの発表
お昼は、南相馬市立中央図書館にある作業所直営のカフェにてランチ。私は薬膳カレーをいただきました。
この図書館と隣接する市民情報交流センターは2013年の日本図書館協会建築賞を受賞しただけあって、とても落ち着いた洗練されたあたたかみのある、要するに、ずっといたくなる建物です。
上の画像はちょっとしたホールですが、いちばん左の座席は、ガラスで仕切られています。例えば子どもがいるお母さんが何かに参加したいとき、子どもをあやしながら、子どもが少しくらい騒いでも参加できる。そんな配慮もあるのです。
図書館は有志のみなさんがNPOを創ってそこでかなり議論されたとききました。
南相馬の文化の底力を感じます。
堂々と発表してくれました
そんなセンターの一画で、今回も横山さんが南相馬の当事者、事業主、ハローワークや作業所の支援者のみなさんの前で、発表をしてくれました。
今回は「スーパーピアサポーター」(by 横山さん)との交流があったり、実際に当事者とスライドを創りたいと考えていらっしゃるスタッフの方がいらしたりして、みなさん一生懸命聴いてくださいました。中には、横山さんの着物姿のお写真にいたく感激した方もいらしたりして、いろいろな感想がありました。
当事者の体験を「物語」としてスライドというかたちにしてまとめる、このスタイルが、当事者研究とともに、福島に、相馬・南相馬に広がってほしいものです。
「今日、私はみなさんにバトンをお渡ししました」ときっぱり言っちゃいました。 みなさんの発表を楽しみにしています♪♪