他の職種の全く別にみえる発想を少なくとも理解しようとする 

その後は、なごみさんの母体であるNPO法人「相双に新しい精神科医療保健福祉システムをつくる会」の副理事長で福島県立医科大学の大川貴子先生、廣田さん、木村さん、石井さんによるセルフ・ケア・モデルに基づくアセスメントシートなどの記録用紙の作成に関するミーティングに参加させていただきました。
 なごみさんは今後セルフ・ケア・モデルを採用して支援を行うのだそうです。私たちぴあクリニックではストレングスモデルにもとづき、アセスメントシートとリカバリープランを作成しています。今後、訪問看護ステーション不動平の看護計画などの記録用紙とストレングスモデルをどう摺り合わせていくのかが課題でもあり、なごみさんの記録用紙の作成はとても興味深いものがあります。

空気?? 排泄、個人衛生??

 とはいいつつ、正直なところ、アセスメントシートをみて、最初はぎょっとしました。
空気・食事・水分/排泄/個人衛生/活動と休息/孤独と付きあい・・・
といった項目ってまるで・・・。このような観点からだけ「地域で生活する人」をみるのって一体どうなんだろう??

(実際に使ったものは個人情報が含まれているので、ネットからひろったものを画像として紹介しています)

 「孤独と付きあい」っていう表現ではなくて、もっと社会的なつながりとかネットワーキングとか違った言葉を用いると違ってくるのではないかと質問してみたのですが、大川先生の答は、この用語はオレム―アンダーウッドのセルフケアモデルの理論に基いて作成されたものであり、「孤独と付きあいのバランスがとれていること」に関するものなのだ・・・・といった説明をしていただきました。
 また、「排泄」という言葉にぎょっとして、この項目と「活動と休息」の書くスペースが同じ大きさなのって地域で生活している人の訪問を行っている自分にはやや違和感があるのですがと質問してみると(・・・こうやって書いていると、なんだか本当に空気読まずにバシバシ質問していて恥ずかしくなりますね・・・)、もちろん人によって書く量はそれぞれまちまち。学生にはこの欄の大きさを自由に変えるようにと言っている。ただ、抗精神病薬を飲んでいる方は便秘気味になっている場合も多い。いろいろな症状の影には排泄の問題が潜んでいる場合も多いので、それはそれで必要な情報だろうとのことでした。確かに、失禁のことで(特に私たち支援者が!!!)困っている方もいらっしゃいます。

 まあ、そんな感じで、私たち?PSWにとってはなんだかものすごく違和感のあるシートではあったのですが、一つ一つについて大川先生に解説していただき、セルフケアとリカバリーとの関係などについて大川先生の見解を伺うと、決して自分たちのめざすところと変わらないのだなあと感じました。まあ、当然のことではありますが。
 素人のあまりに素朴な質問にもわかりやすく答えてくださった大川先生、ありがとうございました。看護の人たちの発想が少しわかったような気がします。

アセスメントの落とし穴

 ただ、ストレングスモデルのアセスメントでも同様なのですが、アセスメントシートに私たちが使われてしまうことが懸念されますね。アセスメントシートはあくまでツールであり、それを使って私たちが何をめざすのかを、チーム全員で確認していかなくてはいけないし、アセスメントなどの支援の過程において主体は当事者であることを忘れてはいけないでしょう。アセスメントって「査定」という訳語もあてられます。「査定の対象」じゃあ、モノ扱いですから、アセスメントにおける当事者との関係性については、注意してもしすぎることはないのではないかと思います。