親なきあと

 今朝のアウトリーチカンファレンスでは、新規ケースの紹介がありました。
 60代の男性。家は農家で親御さんの手伝いをされていた統合失調症の方です。親御さんがどちらも亡くなってしまい、いろいろ経緯があったうえで、今後なごみさんの訪問が始まりそうな方です。

 昨日おききした新規ケースの方も、60代の男性で、高齢のお母さんがいらっしゃるけれども、お母さんが支えきれずご本人の状態も悪化して、なごみさんの訪問が始まりそうというものでした。


 そして、カンファレンスの後に石井さんと一緒に伺ったお宅は50代の統合失調症の女性で、高齢のお母さんがみてらしたのだけれども、最近なごみさんの訪問が始まりました。訪問しているうちに、お母さんが認知症ということが次第にわかってきたそうです。
 前回の支援のときにも同じようなケースに同行させていただきました(ご家族の苦労、家族内での苦労などなど - ぴあブロ)。このようなケースが本当に多いようです。

 ちょうどぴあクリニックが始まる前、まだ私たちがかんがるークラブというボランティアのグループでACTをやろうとしていたころ(無謀・・・)、新居先生が対象者の年代別のグラフを作成して、

今訪問に行っているのは40代から50代が多い。これからどんどんこの世代の人が増えるだろう。今までは親御さんがどうにか抱え込んでやっていたけれども、そうはいかなくなる。
自傷他害行為があれば措置入院になるけれども、そのような激しい動きがなくて、近隣にも迷惑をかけないと、家の中で引きこもり続ける。そして、親御さんが抱え込めなくなったときに、顕在化する。
今のうちに一刻も早くそういう人たちを掘り起こさなければいけない。

ということをよく言われていました。そのような問題意識もあり、新居先生はかんがるークラブそしてぴあクリニックを立ち上げたのだと認識しています。

 あれから10年弱・・・。まさに、新居先生が言っていた通りの現象が、この相馬で起こっています。医療中断だったり、未治療だったり。

 でも、これは相馬だけの現象ではありませんね。
 おそらく、「親御さんが抱え込める」だけの敷地のある、社会資源もあまりない地域の方が、このような現象が顕著なのではないかと想像します。これから、未治療・医療中断の40〜60代の方たちの問題が各地域で浮上してくるのでしょう。
 そういう点では、抱え込めなくなった親御さんたちと出会う地域包括支援センターさんと私たちの連携をより密接にしていく必要があるし、介護保険と医療、介護保険障害福祉サービスといった垣根をどうやって取り払って連携していくかが課題となっていくのでしょう。
 このような問題が顕在化して、地域のニーズとなって行政とともに考えていけるようになったとしたら、ACTあるいは精神科の多職種連携チームによる未受診・治療中断の方へのアウトリーチというものが、少しずつ制度化していけるのかもしれません。