地域に精神科医療機関がないということ

peerclinic2014-02-18

 昨日、相馬市には「歴史始まって以来」精神科医療機関がなかったということを書きました。それがどういうことなのかを表すエピソードが一つあったので紹介します。
 午前中同行させていただいた方は、ここしばらく服薬を中断してとても具合が悪くなっていらっしゃいました。しばらく飲んでおらずためてしまった薬に加えて今回新たに処方されたものを併せて一包化する作業が必要となりました。
 この方が自立支援医療で指定している薬局はなごみさんのすぐ横の薬局ではありません。すぐ横ならば便利なのですが、歩くと10分近くかかる場所です。どうしてわざわざ遠い薬局(便宜的にここではA薬局としておきます)を指定しているのか?

 精神科の医療機関がないということは、精神科の薬を置く薬局がないということでもあるのですね。
 おそらく、仙台や南相馬医療機関に受診していた人たちは、その医療機関のすぐ近くの薬局で薬をもらっていた。だから、相馬市の薬局では精神科薬の在庫はほとんどなかったということになります。それが、震災後になって急きょ相馬でも精神科薬が必要となった。そのときに、いち早く精神科薬を置いてくれたのが、そのA薬局だったというのです。
 今でこそ、すぐ近くの薬局でも精神科薬を置いてくれるようになってきたようですが、自立支援医療の薬局を変更する手続も煩雑ですし、いち早く精神科薬を置いてくれたという「恩があるから」という側面もあるそうです。

 考えてみたら当然かもしれないけれども、薬局に精神科薬がなかったというのは、私にとっては驚くべきことがらでした。
(画像は、以前は松川浦の近くにあって、おいしい海の幸を売っていたというスーパーシシド。津波の被害に遭って、移転してこのお店を再建したそうです。)