高齢になってもその人らしく生活することの難しさ

peerclinic2014-01-29


 早いものでもう今日は最後の日です。
 午前中はお二人の高齢の単身女性のところに訪問に行きました。

 最初の方はグループホームに入っていらっしゃいました。それ以外の方はみなさん認知症。この方だけが双極性障害のある方です。一軒家に1人で暮らしていらしたのですが、うつのときは家事も何もできなくなってしまう、そうのときは鍋に火をかけたままどこかに出かけてしまう・・・ということで、ご家族の意向もあり現在はグループホームに入っています。規則正しい生活、定期的な服薬、保護された環境がもたらす安心感もあり、かなり安定していらっしゃるそうです。躁うつの波もゆるやかになってきたとのことでした。

 しかし、一方で、「利用者さん」になってしまっているのが気にもなります。
 「利用者さん」という言葉が象徴するとおり、その人がもともと持っていたさまざまなアイデンティティ・・・母親だったり◯◯県の××地方出身者だったり職業のこと、誰々のファン、地域で重宝がられていた役割などなどはある意味剥奪されてしまいます。
 もちろん、職員さんはその方の過去のエピソードなどを尊重していろいろな支援をされるとは思うしさまざまな実践が行われているのですが。

 この方は本当は一人暮らしがしたいとおっしゃっているとききました。その思いが現段階でどの程度あるのかにもよりますが、このまま「利用者さん」として日々を送っていくのが本当に望ましいのか・・・。しかし、入所にいたるエピソードや家族の歴史をおききすると、やむを得ないのかなあと思ったり。

 ほんのすこしだけこの方と接した私がどうこう言えるわけではないのですが、このようなケースでは結論がなかなか出ませんね。