ご家族の悩みはどこも同じ

 お昼は、大変おいしいワタリガニのクリームパスタをランチにいただきました。
 
 気力を充填した後、午後は家族相談があり、今回初めてお宅に伺うケースに同行させていただきました*1
 相談票によれば、10年以上のひきこもりの方なのですが、おそらく妄想に基づくと思われる周囲には理解できない行動多々あり、独語あり、人への過敏性あり。稀ではありますが、ご家族への暴力もあります。新居先生がここにいらしたら嬉々として往診に行きそうだなあなんて想像しちゃいました。

 ご両親からお話をお聴きしました。引きこもるきっかけ、震災時のご本人の行動、今の状態、ご家族のお気持ち・・・。かなり重篤な症状ながら、ご家族が全てを抱えこんでこられました。その苦労を切々と語られました。お母さんが語った後にはお父さん。お父さんの話が少し済んだらお母さん・・・。

 以前はよく知り合いや友人も家に来てくれた。つきあいもあった。けれども、
 本人が、家に誰かが来るのを嫌がるんです。だから、ついおっくうになって。
 それに、(自分が)出ていって話をするにしても、私らの年代だと、やれ旅行に行ったとか孫の話だとか・・・。私はそういうことしてないから、結局聞くだけだし、面白くないんですよ。それで、だんだん付き合いもなくなっていって、どこにも行かなくなってしまいました。

 自分たちの育て方が悪かったのかなあって・・・。あれこれ思うんです。


 親御さんの育て方の問題ではない、病気なんだ、ご自分を責めないでほしいということ、訪問を続けて仲良くなっていっていろいろな活動をしたり服薬をしていくことによって少しずつではあるけれども良くなることなどを説明していらっしゃいました。
 
 このようなお宅の親御さんの苦労、思い、孤立した状況というのは、どこの地域でも共通していますね。
 ただ、この地域の場合、周囲数百メートルを林に囲まれているといった物理的にも孤立しているお宅にこのようなひきこもりの子どもさんを抱えるお宅が多いそうです。街中だとそのようなお宅のいろいろな状況が周囲にもわかってしまう=周囲に説明したり助けを求めたりする必要から比較的早い時期に公的機関に相談に行ったりする。けれども、よくも悪くも発信さえしなければそのような家の状況は誰にも知られないで済んでしまう。そのため、限界に達するまで親御さんが抱え込んでしまう。
 勤勉で自助努力を良しとする地域性があるので*2、いっそう親御さんが「自分たちが必死に努力しなければ」と思い込んでしまう。

 ご本人は不意の行動が苦手で、予め「この日にこのようなことがある」と知らされていたほうが対応が柔らかいということもあり、今回はお会いしないことになりました。来週、もう一度伺うこととなりました。
 まずは関係作りからですね。
 幸い、お話を伺う限りは、訪問を重ねあれこれとやっていくうちに良くなりそうな感じの方ではあります。

 少しずつこの方がよくなられて、ご家族の負担が少なくなっていけば、ご家族がご家族自身の生活を楽しむようになっていけば・・・と願わずにはいられません。

*1:西内さんと照美さんと一緒でした。ご本人に会うにしては3人は多すぎるかもしれないということで、私はご本人に会わないということもありうるということでついていきました

*2:http://www.nihonkai.com/jh7bia/fuku/sub855.htm