被害が次第にみえてきて

街中でも残る傷跡

 今朝は、被災地支援のコーディネートを一手に引き受けてくださっている仙台の原クリニックに集合。ホテルから徒歩で30分とのことだったので、歩いて行きました。
 しばらく歩くと、さすがにいろいろなものが見えてきます。

広瀬通りの大きな交差点ですが、この向かい側のビルもまだネットを張って補修工事を行っていました。地下鉄の入り口にも大きなひびが入っていました(見えるかな?)。



 さらに歩いていると、現在無人となっているマンションがみえました。

世界が変わったのかと思いました

 現地のとあるるPSWさんが3.11当日のことを話してくれました。

僕はデイケアのメンバーさんと、地下のスタジオにいたんですよ。メンバーさんがギターが弾けて僕はドラムができるんで、今度バンドでもやろうよということになって。で、スタジオであれこれ見て話をしていたら、地震があって。
 地鳴りの音がすごくて、めちゃくちゃ揺れて、上から物はバシバシ落ちてくるし、自分自身怖くて怖くてパニックになりました。でも、不思議なものですね。他の人がパニックになっていると、かえって落ち着くんですよね。メンバーさんを落ち着かせなくっちゃって。
 で、メンバーさんと外に出ました。そうしたら、ちょうど目の前で車が3台玉突きになっているし、建物はめちゃくちゃになっているし・・・。
 世界が変わったのかって思いましたよ。
 その後も大変でした。ライフラインはとまっちゃって、都市機能がマヒして。ガスが通じたのは4月下旬だったかな。サバイバル生活でした。食べ物もないし。全てがなかったですものね。
 今の仙台の街をみているとそんなことがあったのかどうか不思議な気持ちになりますけれどもね。

 仙台のみなさんの大変なご努力があっての、この街並みなのですね。
 そう思うと、よく目にするこういったメッセージもまた違ってみえてきます。

仮設住宅での訪問


 さて、今日も仮設住宅での訪問を行いました。仮設住宅は地域によってかなり異なるそうです。どの業者に頼んだか、どのくらいお金をかけたかによる差なのだそうです。名取の仮設はとても素敵だとききました。が、このプレハブは・・・・。

拒絶が強いときこそ介入しどき(の場合もある)

 この日訪問した中で、とても気になる方がいらっしゃいました。もともと統合失調症とのことですが、この日は対人拒絶が激しく、「また来ますね」と声をかけると、「もう来ないでください!」とバシっと扉を閉めてらっしゃいました。状態は決して良くありません。
 幸い、訪問看護が入っている方なのですが、次回の訪問が担当の看護師さんの出張でなしになっているとのことでした。私たちこころのケアチームももちろん毎日でも訪問できるのですが、人はどんどん変わってしまうので、むしろここは関係のとれている訪問看護さんに頑張ってほしいところです。
 ということで、訪問看護ステーションに連絡をとり、いろいろと調整をしました。

 その様子をみて、とあるスタッフは、

そうなんですね。訪問を歓迎しないときこそ訪問が必要な場合があるんですね。
つい、「こんなに嫌がられているのに行くなんて・・・」「そんなに『一生懸命』にならないほうがいいんじゃないか」ってつい、セーブしてしまうんですけれど、そうではないんですね。
 訪問看護との連絡とかも、つい、相手も忙しいのに・・・って思ってしまうんだけれど、そうやってどんどん情報を共有していかなくてはいけないんですね。

とおっしゃっていました。

 その人が健康な方であれば、嫌がるところに訪問するべきではないし、相手の拒絶を十分尊重すべきですよね。そんなところにおしかける「一生懸命」さはもちろんはき違えです。最近懸念されている「地域生活管理」というよりも人権侵害です。

 でも、病状が悪化して対人過敏になっていたり怒りっぽくなっている場合であれば、むしろ積極的に介入する必要がありますよね。言ってみれば、平熱が36度台なのに38度になっていれば、何らかの方策を講じるのと変わりはないのではないでしょうか。

 もちろん、対人過敏で拒絶があるのですから、介入の内容と方法は工夫しなければいけません。が、介入(という言葉がきつければケア)は必要と思われます。だからこそ、今回は私たちではなく、なじみの訪問看護さんにお願いをしました。
 また、このような支援の中心はあくまでその当事者です。その当事者にとってプラスになることであれば、他の機関と連携して、他の機関にお願いをしていくことは悪いことではありません(よね?)。密な連絡をとって、機関をこえたチームでその人を支えていく態勢が必要なのは、ACTでなくても同様ですよね。

 というわけで、ぴあクリニックでやっているごくごく当然のことだったのですが、スタッフのみなさんに理解を得るまでちょっと時間がかかりました。でも、みなさん説明すればわかってくださり、良かったです。
 そのスタッフさんには、こうお答えしました。

 いや〜〜、ときどき、訪問先の人がすごく調子悪くなってしまっていることがあるんですよね。で、大変な思いして時間使ってあれこれとすることがあるんだけど、思い出すと「あ、数日前にちょっとおかしいなあと思っていたんだっけ」
「あ、そういえば、薬がイヤだとか言いだしたっけ」
とか・・・。もっと前に対応しておけば、ちょっとしたことで済んだのに、そのまま何もしなかったがために、その方の状態が悪くなってしまって、後悔したことが何回もあるんですよ。
 だから、他機関には、あれれと思ったらすぐに電話したり、主治医に報告したり、あれれと思ったらチームのみんなと相談してるんです。だって、そうすれば、ご本人も支えている私たちもラクですからねえ・・・。

 なんか、エラそうかなあ・・・なんて気になるのですが、まあ、必要なことは必要なんだと割り切って、スタッフのみなさんと相談しながら活動していきたいと考えています。

津波の脅威

 午後は津波の被害が大きかった地域の全戸訪問に同行しました。
 が、時間がなくなってきたので、今日はこれまで。明日も同じように訪問するので、明日詳しく書きます。
 予告編ではないのですが、3枚だけ。青々とした田んぼだったはずの土地ですが、津波で全てが流されがれきの山となってしまったところです。青々としたのは雑草です。がれきもかなり片づけられているのですが、まだ残ってはいます。


 どうしても書かなくてはいけないのが
「住みなれた土地で 自分らしく暮らしたいという気持ち」
についてです。忘れないように備忘録的に記しておきます。