精神障害者リハビリテーション学会に参加しました 【その1】

盛岡です

 こんにちは。PSWの上久保です。
 10月31日から11月1日まで、岩手県盛岡市で開かれた精神障害者リハビリテーション学会に、訪問看護ステーション不動平・ぽっけの新田さんと参加してきました。今日は、その報告です。
 秋の岩手!! ということで、私のような寒がりは心配していたのですが、特に10月31日と11月1日は好天で、10月31日は歩くと少し汗ばむくらいでした。また、雲ひとつない青空!! 紅葉が見事でした。この写真は盛岡城址です。

ストレングス視点+コミュニティーソーシャルワーク

 せっかくなので、できるだけ勉強しよう!という新田さんの熱意もあり、最初のプログラムから参加しました。最初は「研修セミナー」ですが、私は『ストレングスモデル[第3版]―リカバリー志向の精神保健福祉サービス』を監訳・翻訳された田中英樹先生と栄セツ子先生による「ストレングス視点でコミュニティソーシャルワークを学ぶ」に参加しました。
 お二人の漫才のような(ボケは田中先生、つっこみは栄先生)息のあったテンポのよいやりとりを楽しみながら、

  1. フレーミング
  2. ストレングスアセスメント
  3. 地域のアセスメント(SWOT分析を用いる)
  4. 個別ケアプラン

と段階をおって、演習が進みます。まず面白かったのがグループ分け。起床時間順に3つに分けるというのは、私には斬新でした。
私はこの日6時10分に起きたのですが、18人のまんなかで「なかなかグループ」に所属しました。

 ストレングス・アセスメントと地域のアセスメントに基いて、地域を視野に入れた個別ケアプランを作るのですが、私たちは「なかなかカフェ」を作り、運営しながら、人の中へ、街のなかへ、仲間を作る、なかなかいい調子というゆったりしたペースを大切にする場/ネットワーク/コミュニティーを紡いでいくということを考えました。

 ストレングスモデルというのは、病気や障害に着目するのではなくて、その人が特に頑張ろうと思ったり興味を持ったり、得意だったり好きだったりすること(strength)に着目していくことを中心においた支援のモデルなんですが、ただその人のストレングスだけではなく、その人の環境、住む地域に着目することの大切さを改めて学ぶことができました。

根洗町からフィンランドまで

 その後は、自主プログラム「オープンダイアログ(開かれた対話)、精神病治癒へのフィンランドのアプローチ」に参加してきました。現在新居先生をはじめ、いろいろな方が興味関心をもっているフィンランドの西ラップランドで実践されている治療のプログラムです*1
 講師は国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所の下平美智代さん。・・・というと、なんだかスゴイ、私とは全然違う世界の人だなあ・・・って思っちゃいますが、なんと下平さんのご実家は、ぴあクリニックもある浜松市北区根洗町なんです!! 
 そして、来年の1月下旬にはぴあクリニックに、フィデリティ調査で来られます。そのときには、みんなでオープンダイアログについて聴いてみたいものですね!

 オープンダイアログの動画を半分ほどみた上で、実際にフィンランドに視察に行った下平さんからもう少し具体的な報告をききました。

  • 精神科病院を用いない。
  • 常に電話には出る。
  • 対話(ダイアログ)を用いる。
  • 当事者と家族もチームの一員である。
  • チームのメンバー同士が仲が良い。
  • 危機的な状態のときには、スタッフが当事者の家に泊まりこみをすることもある。薬を優先的に用いようとしない。

・・・う〜ん、とても素晴らしい、そんなことができたら素敵だ。でも、一方で自分がそのスタッフとなった場合、「泊まり込み」とか疲れそうだなあ・・・大丈夫かなあ・・・と心配になってその点質問したのですが、労働条件はかなりきちんとしていて、働き過ぎになることはなさそうです。・・・そうなんですね。安心しました。

え〜っと、最初の日だけでこんなに長くなってしまいました(汗)。また明日それ以降のものを書きますね。

*1:オープンダイアログに関してはいろいろな文献が出始めていますが、ACT全国ネットワークのニュースレター2014年10月号にACT-Kの高木俊介先生が寄せられた文章がとても端的でわかりやすいと私は思っています。高木先生は、「本人、家族、関係者・機関から連絡を受けた精神科クリニックのスタッフがニーズに合わせたチームをすぐに編成し、24時間以内に本人に会いにいき、話し合う場をもつのである。危機の時には毎日のように行われるそうしたミーティングには、最初から本人、家族、専門職はもちろんのこと友人や同僚、教員など関係のある人々が集まってくる。本人が家にいようと病院にいようと支援が必要なくなるまで、2~3人のスタッフからなる一つのチームが一貫して支援全体の責任を担う。」と書いています。日本の精神科医療とかなり違いますね。